説明
2020年では、最も収穫が遅かった区画。全房プレス後、ステンレスタンクで2ヶ月ほどマセラシオン・カルボニック発酵。その後、プレスはせずに果汁を移し、古いトノーで11ヶ月熟成。全醸造過程においてSO2は不使用。
ゼッキンガーについて
ゼッキンガーは2012年に設立されたニーダーキエヒェンで最も若いワイナリーだ。エンジニアだった父親は趣味でブドウ造りを行い、周囲のワイン生産者にブドウを販売していた。現当主であるヨーナスと彼の兄弟は若い頃から畑で働くのが好きで、高校卒業後はガイゼンハイムの醸造学校に通い始めた。2012年までの何年かはガレージワインを造り、2016年にワイナリーとして本格的に稼働開始した。まだ、ワイン造りを始めたばかりの頃はドイツ国内の生産者のみならず、アルザスやジュラ、サヴォワ、ブルゴーニュなどのワインを積極的に飲み、インスピレーションをもらったという。
土壌、気候、畑やブドウ品種の特徴をより深く理解することで、ワインの質は毎年良くなり、2012年に開始したビオディナミへの移行も2018年で終了し、ワインは益々エネルギッシュになった。そもそもニーダーキエヒェンは、モーゼルなどとは異なりワイン造りの伝統色が薄い。そのため、過去10年間で多くの若い生産者が集まり、お互いが切磋琢磨できる文化が形成され始めているという。
にも関わらず、ブルゴーニュを思わせるグランクリュ相当の区画が多く残っているため、非常に注目に値する場所だ。
ワイン造りにおいては、畑における生物多様性を守り、土造りを大切にする。プレパラシヨンの使用の他に、雹などがあるとカノコソウを撒き、ブドウ樹を落ち着かせる。彼らの畑はハールト山地の東端に接しており、冷涼かつ地形が多様な場所だ。従って区画によりブドウ樹の生育は異なるため、畑における作業方法や収穫時期を変えたりする。彼らにとってアルコール度数が12.5%を超えないというのも重要な基準だ。また、この土地の土壌は主に粘土、雑色砂岩、レスから成り、農作物はほとんどなんでも育つくらい肥沃な土壌だという。そのため、グローセラーゲやエアステラーゲは石灰岩が占める山側に
広がっている。これからは、より人工的なものを排除したワイン造りを目指したいという。ファルツには、ジュラやサヴォワ地方を想起させる偉大なポテンシャルがあり、その発信源になれれば幸いだと語る。
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