説明
通常のサン・ザネがヴァンティエールからのブドウを使用するのに対し、ヴァンセルやフェスティニーに持つ所有畑のブドウから生み出されるキュヴェ。フレッシュな柑橘果実のフレーバーをしっかりとしたミネラルが支えている。
Nowack について
ヴァレ・ド・ラ・マルヌの中心地であるエペルネから西に20kmほど離れたヴァンディエール村に居を構えるNowackは、才能溢れる新当主のもと、この地でめきめきと注目度を上げているドメーヌだ。Nowackの家系は1795年まで遡る。初代~3代目はレンガ造りの仕事を主とし、その傍らで所有する小さな畑でブドウを栽培、販売していた。しかし、1890年にこの地をフィロキセラが襲うと、4代目当主であったフェルディナンドは壊滅的な打撃を受けた畑の復興に熱心に取り組んだ。やがてフェルディナンドが周囲も認める才能あふれる栽培家として頭角を現すようになると、1915年に満を持してシャンパーニュ醸造を開始。こうしてレコルタン・マニュピランとしての歴史をスタートしたNowack家は、その高い品質から、現在では生産するブドウやジュースの一部を大手メゾンであるランソンや、エルヴェ・ジェスタンが手掛けるルクレール・ブリアンにも販売している。2012年からワイナリーを率いる8代目の現当主フラビアンは、Nowack家が守り続けてきたこの地特有のテロワールへの愛を継承しているだけでなく、先代の父とは違う新しいアプローチでNowack家の新時代を切り開いている。
新当主による1つ目の改革がビオディナミの導入だ。Nowackの畑はヴァンディエール村に6ha、シャティヨン村に1haの計7ha所有し、異なる20の区画にまたがる。「各区画が持つ複雑な生態系を理解し、リスペクトすること」をモットーとするフラビアンの代よりリュット・レゾネからビオディナミの管理に切り替え、化学肥料や薬品は一切使用せず、牛の角や堆肥、ハーブによるプレパラシオンを用い、畑と生態系のバランス保全に努めている。渓谷沿いに畑が広がるこの地は丘の上にあるモンターニュ・ド・ランスに比べ湿度が高く、ビオディナミ栽培への取り組みにより多くの労力が求められる。しかし、こうして自然の力を引き出す事でブドウが根をより地中深くに伸ばし、土中の微生物が活性化する環境が整備されるという。土壌、植物、畑に住む生物全てのサイクルを尊重する事が、テロワールの真のキャラクターを引き出すのだ。2つ目の改革が、「単一区画+単一品種+単一収穫年」というアプローチだ。フラビアンの求めるワイン像は「テロワールのピュアさ、力強さを余すことなく表現するワイン」。それを実現するための基本哲学として自身の代よりこの方法を導入した。収穫では20ある区画ごとにブドウの完熟を待って丁寧に手摘みし、圧搾から醸造まで区画毎に分けて行う。人為的な介入を出来る限りなくすため、天然酵母で発酵、マロラクティック発酵も自然発生に任せ、無清澄、無濾過で翌年春に瓶詰する。こうして単一区画/品種/収穫年で仕込んだワインをフラビアンはあえてノン・ヴィンテージとしてリリース。ミレジムとしてリリースするためには収穫時に登録申請が必要だが、ワインは実際に熟成が進んでいかないとその本質は見えないと考えているためだ。
Nowackのシャンパーニュはドサージュ量が0~2.5g/Lと低いが、豊かな果実味に溢れ、同時に繊細で伸びやかなミネラルがあり、どのワインも洗練されている。意欲的なフラビアンは2020年には「より一般的なシャンパーニュ」をコンセプトとし、Nowackの総体的なイメージを表現するための複数区画/品種/収穫年をアッサンブラージュした新たなキュヴェ「S.A.」をリリースした。「Sans Annee=ヴィンテージなし」を意味するこのワインは、アッサンブラージュスタイルから単一区画/品種/収穫年のアプローチへと舵を切っていく他の多くの生産者とは異なっており、まさに彼の好奇心の強さを体現しているといえる。彼のワインはランスの星付きレストランやビストロでもオンリストされており、新当主が率いるNowackへの注目は着実に高まっている。
インポーター資料より
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